新しいゲーム機が出ると、子供はすぐに欲しくなります。
それは私とて例外ではありませんでした。
スーパーファミコン。私がファミコンを買った後に、時を置かずして登場した新ハードがこれです。
ファミコンを上回るグラフィック。
サウンド面でも同時期のゲーム機を凌駕する品質。全てが、ファミコンとは比べ物にならないほどの新ハードなわけで、欲しくなるのも無理もない話でした。
ただ、私が欲しくなったのは発売から約2年後のことでしたがね……。
しかしファミコンというハードをすでに持っている以上、そうやすやすとは買ってくれるわけがありません。
購入してからまだ2〜3年ぐらいしか経っていないわけですからね。
ですが、この『スーパーマリオカート』は何としても買ってプレイしたかったのです。
スーファミ発売と同時に出た『スーパーマリオワールド』は、いとこのねーちゃんが持っていたのでたびたびプレイ出来ていたのですが、マリオカートは買わないと言っていた為、こっちで買わないとプレイできないという状況だったのです。
しかし、おねだりすると、
「ファミコンがあるでしょ!」と当然のように言われ、すでに購入していた友達が、マリオカートで和気藹々と勤しんでいる間も、こちらは細々とスーパーマリオブラザーズをやっていた訳です。
まぁ、ジャンルは違うんだけどね!!クラスでの会話はもっぱらマリオカート。
「おれは150ccだしたぜ」
「まじかよ!俺はまだ100ccコースもクリアしていないよ」
「まぁ、努力しだいだぜ!……で、ジョウはどんな感じだ?」
「……」
「ジョウはまだ持っていないんだから聞くなよ、悪いだろ?それよりあっちで話の続きをしようぜ」
「そうだな。悪いなジョウ!……じゃぁ、あっちでマリオカートトークとシャレコミますか!」
「そうですな!ははははははは」
マジ粉砕したくなったね!これは!
で、このような苦渋を二度と味あわない為にも、何としてもスーファミを購入しなければならない訳です。
―さてどのように親を調略するか……。私の頭の中はこの事で一杯でした。
そして数日後、いざオネダリをもう一度してみようと思った矢先、運がいいことに、父親が競馬で万馬券を出したのです。
家の父親は、毎週競馬をやっているのですが、万馬券を当てた日には必ず何かを買ってくれていました。
もちろん、この日もとても上機嫌に好きなものを買ってやると言って、私に話を持ちかけてきました。
もちろん、スーファミが欲しかった私は、好機とばかりに買ってくれとせがみます。
「そうか、そうか。よし買ってやろう。でも、母さんが良いって言ったらだぞ」
めったに万馬券を出すことは無い以上、これを逃したら次はいつ買ってもらえるか分かりません。
母親の了承を得る。これが最後の砦ででした。
しかも、この砦が一番の難攻不落なわけで……。
「はぁ?まだ言ってんの!?ダメって言ったでしょ!」
速攻でクリティカルヒットを食らいます。しかし、ここでめげる訳には行きません。
「でも、お父さんは良いって言ってたよ」
「ちょっとお父さん!!ジョウに勝手なこと言わないで頂戴!!」
「まぁまぁ母さん。ギャンブルで設けた金なんだから」
「そうそう」
「だけどね、ファミコンのソフトを買うわけじゃないのよ!」
「だからこそだよ。これでジョウに買ってやれば、ご先祖様も、そうかそうか優しい親心だな〜といって、また勝たせてくれるんだからさぁ」
「だからと言って、もうすでに一台持っているのよ!」
「俺が良いって言ったらいいんだよ!!少しは父親をたてろ!」
「だったら、まずアンタのその性格を直しなさいよ!!」
「何だと〜!!」
……いつしか、私の事などそっちのけで、喧嘩を始める両親。
このバトルはとてつもなく長期戦となったので、眠くなった私は、他人事のように床についたのである。
翌日。
起きてみると父親の姿が無い。
母親に聞いてみると、父親が家を出て行ったとの事。たかがスーファミ如きで、こんな大惨事になってしまったと、子供心に凄い恐怖心を覚えた。
しかし夕方、ちゃっかり父親は家に戻っていました。
どうやら家を飛び出したはいいが、金を持ち出していなかったらしく、モ○バーガーで一夜を過ごしたらしいのです。
で、何食わぬ顔で戻ってきたと言うわけです。
母親は、機嫌が悪かったのを覚えていますが、父親は喧嘩しても翌日にはすっかり忘れているような人間なので、戻ってきた時には母親にゴマスリを始めていました。
どうにかして母親の機嫌を取戻そうと、必要以上に話を振りまくる父親はもう威厳も何もあったものじゃない。
母親も次第に面倒になってきたのか、いつしかいつも通りの振る舞いに戻っていました。
これで、一件落着。
そして、スーファミは……。
幼い私は、その翌日ぐらいには、
スーファミの事が無かったことにされていた事実に気付いたわけでした。うまいことはぐらかされた感じが……。
これって、私にあきらめさせる為にとった芝居だったのか!?と、思わずにはいられない幼い私でした。
でもその後、どういう風の吹き回しか、向こうから買ってやると言ってくれたんでしたね〜。
しかも母親が!きっと、親同士で何かが話し合われたんでしょうね。
で、スーファミを手に入れた私は、必然的に『スーパーマリオカート』も手に入れたわけです。
ふぅ……。
随分長くなってしまいましたね。
まだ、レビューすらしてないのに……。
つか、もう眠いので(リアルで)、この続きはあしたに記したいと思います。
それでは。