特撮ヒーロー番組『ウルトラマン』を原作とするPS2の格闘アクション。
対戦格闘に重きを置いたFighting Evolutionシリーズとは異なり、
原作の雰囲気を重視した再現ゲームといえる内容です。
ゲーム全体のボリュームこそ少ないものの、
随所に見られるこだわりは原作を知っていれば知っているほど、
その作りの細かさに、あるいは再現度に脱帽してしまうほどであります。
格闘ゲームとしてのウルトラマンを楽しみたいのであれば
Fighting Evolutionシリーズの方をお勧めいたしますが、
原作の雰囲気を感じたい、あるいはウルトラマンらしさを楽しみたいという事であれば、
こちらのゲームがよりその要求に答えてくれるのではないでしょうか。
初代ウルトラマンのストーリーを追体験!
このゲームには幾つかのモードがありますが、その中でメインとなるのが
TVで放送されたエピソードを追体験する『ストーリーモード』となります。
ストーリーは、テレビで放送された初代ウルトラマンのエピソードと同様、
第1話のベムラーから最終話ゼットンまで。
バルタン星人やレッドキングといったお馴染みの星人や怪獣を初め、
バニラやアボラス、それにペスターといった
Fighting Evolutionには登場しなかった怪獣もチラホラと登場します。
全11話構成となっている為、途中幾つかのエピソードは省略されていますが、
条件を満たす事で第1話と最終話を除くエピソードの中からランダムで4話が、
新しいエピソードと入れ替わる形で追加されます。
原作再現へのこだわりが見れるゲーム
格闘アクションなので、ウルトラマンと怪獣のタイマン勝負の格ゲーなわけですが、
格ゲーとしての読み合いや駆け引きは薄く、
攻撃のバリエーションや連携技といったモノも限られています。
格闘ゲームとして見るとかなり見劣りのする類のゲームですが、
その分、キャラゲーとしての側面が強く、
またこだわりが非常に感じられるゲームでもあります。
空や山などの背景や建物から感じられる特撮番組らしいらしさ。
それに怪獣やウルトラマンも、格闘ゲームとしてのキャラというより、
テレビの番組を見ているかのようなあの質感と重量感が感じられるゲームです。
まず操作キャラであるウルトラマンは、3タイプのモデリングからなるのですが、
これは実際に放送された時に使われたタイプに合わせて、
ゲーム内でもウルトラマンが変わっていくという原作の雰囲気を再現しています。
各話における怪獣との戦いにおいても、
原作のエピソードを再現した戦い方が可能となっている為、
プレイヤーの戦い方次第では、テレビで見たあの光景がそのままの形で楽しめるわけです。
例えば、ジェロニモだったら羽を毟り取る演出が入るし、
グビラだったらツノを折る演出が入るなど。
怪獣それぞれのモーションも本当に細かく再現されていて、
そういった部分にこそ力を入れいているという事がよく分かります。
ただ倒すのではなく、いかに原作を再現した戦い方をして勝つか。
このゲームが格ゲーとしてではなく、キャラゲーとしての側面が強いのはその為ですね。
他にも、ジェットビートルで怪獣と戦ったり、
スーパーガンを使って地上から怪獣に攻撃を加えたりなど、
操作するハヤタを通して科特隊にもスポットが当てられています。
ハヤタを操作する時は、自身のタイミングで変身も行えますし、
怪獣とのタイマン勝負以外でも、特撮番組『ウルトラマン』としてのらしさが、
このゲームには色々散りばめられておるわけです。
ステージ開始前にはテレビで見た懐かしい場面と共に簡単な解説が入る。
この再現度は今見てもなかなかのもの。
レッドキングを八つ裂き光輪で切断!特殊演出でテレビのあのシーンを再現。
ちなみにウルトラマンがこのやり方で殺ったのは二代目レッドキング。
ジェットビートルやスーパーガンで科特隊としても戦える。
ウルトラマンは原作通り3タイプからなる。
おまけのモードも多彩
メインとなるストーリーモード以外にも、以下の様なモードがあり、
多くはゲームを進めて行くと追加されるようになります。
怪獣大乱闘モード
怪獣を操作して戦う対戦用のモード。
ストーリーモードで出現した怪獣を使う事ができ、なんとピグモンも使える。
怪獣天下モード
好きな怪獣を選び、次々に出現する怪獣を倒していくモード。
最後に出現するウルトラマンを倒すとクリア。
怪獣墓場モード
宇宙ビートルを操作して、怪獣墓場を探索するモード。
怪獣のデータベースが閲覧できる。
岩投げモード
レッドキングを操作して、岩投げの飛距離を競うモード。
ウルトラ快進撃モード
ウルトラマンを操作して3分間で何匹の怪獣を倒せるかを競うモード。
A〜Cタイプ、それに帰ってきたウルトラマンも使える。
帰ってきたウルトラマンモード
帰ってきたウルトラマンのストーリーが遊べる隠しモード。
全4ステージからなるが、ウルトラマンのストーリーと違って各話の解説は無く、
科特隊に変わるMATが登場する事も無い。
これらはメインのストーリーモードと違って、
完全におまけのミニゲームみたいなモードですが、
帰ってきたウルトラマンのモードも解禁されるので油断なりません。
このモードを出現させるには、これらミニゲームを色々やっていく必要がある為、
意外に大変です(難しくはないけど)。
ただ、これだけミニゲームがあり、
尚且つ帰ってきたウルトラマンのモードもあるわけですが、
いかんせん、すぐ終わるほどの大味でボリュームがありません。。。
色々パロディ色も強く、発想としては面白いミニゲームもありますが、
それだけにちょっと勿体無く感じました。
帰ってきたウルトラマンモード。
キャラゲーであればこそ愛は大事
前にも何回か言った事があると思いますが、個人的にはキャラゲーって、
キャラや原作に対してどれだけ妥協せず生かしているかが
大事な部分だと思っているんですよね。
ゲーム性がいかに良くても、キャラの持ち味を殺したゲームには愛着がわきませんし、
原作を大きく外れたり設定を無視したモノも、
それが好きであればあるだけ冷めるわけで、論外であるとすら感じる事もあります。
逆に、多少ゲーム性で劣っていても、愛やこだわりを感じる事ができるのであれば、
それはそれで味として見る事もできるので、
いかにリスペクトしているかがキャラゲーにおいては非常に大事であると感じるわけです。
勿論、ゲームがそもそもつまらないとかになるとさすがにアレですが。
このゲームは、格闘ゲームとしてみれば見劣りするし、
格ゲーとしての面白さ的な部分からは遠く離れているかもしれません。
ただ、原作の再現という意味においては、充分愛を感じる事ができたし、
こだわりが感じられたゲームでありました。
ファンなら自分の手で原作を再現できる喜びに必ずや満足できると思われますが、
逆にそうでないのであれば、必ずしも満足できるゲームとはいかないのも事実。
また、個人的にはウルトラマンのゲームという意味では満足したものの、
いま一歩物足りなさを感じたのも正直なところです。
正直、ボリュームはやはり少なく感じました。
おまけ程度の帰ってきたウルトラマンのエピソードを入れるぐらいなら、
もっとウルトラマンのエピソードを入れて欲しかった。
ダダとかメフィラスとか有名どこもそうだけど、
ザンボラーとかキーラとかもファン向けであればこそ、
ここぞとばかりに出して欲しかったですね。
それに科特隊の戦いももっとこだわって入れて欲しかったとも思います。
私はそもそも、このゲームを買う動機となったことに、
科特隊の戦いが再現されているっていう部分が大きなウェイトを占めていたわけですよ。
パッケージにもそういった戦闘シーンの画像やら、宣伝文句が書いてあって、
それを見て店頭で即買いをしたわけですから。
ところが、ゲームにおいて科特隊は、
すぐ出てすぐ終わる程度のおまけ要素でしかなく、
ずい分肩透かしを食らった感がありました。
ミニゲームならミニゲームでも良かったけど、
それならもう少し幅広く登場兵器とかも出して欲しかったかなって思います。
本編がよく再現されているからこそ、
他の手の届かない部分が目立ってしまったっていうのもあるとは思いますけど、
やっぱこだわりが見えるからこそもっともっとっていう欲はでてきますw
そういえばこのゲームではウルトラマンのテーマが使われて無かったんですけど、
そういった部分もやはり気になってしまいましたね。
もう随分経っているから次回作は無さそうだけど、
良いゲームなので色々改良して移植とかでてくれると嬉しいですね。
『ウルトラマン』評価:☆☆☆☆
発売・バンダイ
ジャンル・アクション
発売日・2004年5月20日
定価・6,800
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