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2020年04月22日

No.272 ファミコン『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』レビュー


国民的RPGの第2弾。
前作から僅か8ヶ月でリリースされた今作はボリュームもスケールもアップし、
世にドラクエブームという現象が起こる火付け役となった作品です。

ドラクエ2 タイトル画面

前作から100年後が舞台のストーリー


今作は、前作主人公の子孫であり三人の勇者ロトの末裔達が
邪教の大神官ハーゴンの野望を打ち砕く為、冒険の旅に出るという物語。

シリーズ初のパーティー制を導入しており、
プレイヤーはロトの末裔である
ローレシアの王子、サマルトリアの王子、ムーブルクの王女の三人を操作していきます。
これによって戦闘も前作の1対1のバトルから、
味方と敵パーティーが入り乱れる集団戦が展開されるようになり、
以降の作品における戦闘システムの基礎を築きました。

ただし今作では最初ローレシアの王子の一人旅となるので、
冒険をしていく過程で他の二人を仲間にする必要があります。
これはストーリー的な意味合いだけに止まらず、
RPGにまだ不慣れだったユーザーが前作の一人旅との違いに戸惑わない為の
配慮の意味も込められていたそうですが、
敵は普通に徒党を組んで襲ってくるので、
序盤のザコ敵ですら油断なら無いものとなっているのがなんとも面白いです。

ドラクエ2 ローレシア一人旅
序盤は一人だけど冒険を続けていくと仲間が増えるぞ!

三人のロトの末裔


ローレシアの王子


最初から操作できるローレシアの王子は物理攻撃に特化したキャラです。
呪文が一切使えないというシリーズ全体をみても異端な主人公ですが、
冒険の過程で仲間にできるサマルトリアの王子やムーンブルクの王女が
ローレシアの王子の苦手とする所を補ってくれます。

サマルトリアの王子


サマルトリアの王子は、いわゆる器用貧乏で、
物理も魔法もそつなくこなします。
ただ重い武器は装備ができない、覚える事のできる最強の魔法も調整ミス?で
微妙といった具合になかなかに不遇。
しかし、序盤におけるサポート的な立ち位置や、
後半における蘇生呪文であるザオリクが使える立場という事もあり、
キラりと光る部分があるのもまた事実。
大事に育てていきたいところです。

ムーンブルクの王女


ムーンブルクの王女は、魔法に特化したキャラ。
物理攻撃には一切期待できませんが、グループ攻撃のバギを早くに覚え、
全体攻撃のイオナズン、体力を全回復する事ができるベホマなど、
魔法においてはサマル以上の活躍を見せます。
というか、魔法が強力なので物理攻撃が期待できない事など何も問題にはなりません。
最後に仲間になるキャラですが、成長が晩成型のサマルより
ムーンの方が扱いやすいので頼りにしたい所です。

得意とする部分と苦手とする部分がそれぞれにあり、
三人の役割がしっかり分けられています。
主人公が魔法を使えない事も、RPGに不慣れなプレイヤーに
その役割をゲームを通して分かりやすく教える為の配慮だったのかもしれませんね。

様々な面でグレードアップ!


パーティー制導入による複数人同士の戦闘だけではなく、
様々な面で前作から進化を遂げ、
後のシリーズに影響を与えているのも今作の特徴です。

まず前作では操作キャラのグラフィックが正面方向のみだった為、
会話をする際に東西南北の入力を行う必要がありました。
今作ではこれを無くし、キャラが四方を向ける様になった事で、
会話の際に方角入力の段階を踏む必要がなくなりました。
幾つかのコマンドを廃止して統合した事や
コマンドの入力を必要としない方法に転換した内容もあり、
後のシリーズに受け継がれている基礎部分がここでも完成したわけであります。
またミニゲームの要素(今作では福引き)もこの作品から導入されています。

マップ自体も大幅に広がり、
海に出れる様になった事で移動手段にも登場。
またワープに該当する旅の扉や、塔のダンジョンも加わりました。

その他にも装備品や魔法の種類の増加など枚挙に暇がありません。

ドラクエ2 船
お馴染みの船もドラクエ2から登場!
船を手に入れる事で行ける場所が格段に増えるぞ!


難易度が高い!


今作を語る上で忘れてはならないのは、
ファミコン版のドラクエ2は凄まじく難易度が高いという所も特徴のひとつです。

前作発売から僅か8ヶ月という驚異的なスピードでリリースされ
かつ大ボリュームの内容で発売された今作は
そのボリュームに見合うだけの難易度を誇っています。

特に終盤のロンダルキアへの洞窟(越えた後も含む)はそれを如実に表すかの如く
多くのプレイヤーを絶望の淵へと叩き込みました。
全7階層という巨大なダンジョンに、
これでもかと散りばめられた罠や強力な敵の数々は、
元々のエンカウント率の高さも相まって、かなり苦戦を余儀なくされます。
必然的に主人公以外は回復要員となりますが、
二人とも打たれ弱いため常に死と隣り合わせです。
特に蘇生できるキャラがサマル一人のみなので、
彼が死のうものならばやり直しが必至という有様。
ようやくロンダルキアへの洞窟を越えても
平気で即死攻撃をかます敵が出て来るので、
中間地点の祠に辿り着く前に全滅という事も何度もありました……。
(ちなみに今作のドラクエ2のザオリクは移動中にしか使えず、
しかも復活時のHPは1です。キチぃ〜〜〜〜〜)

このロンダルキアへの洞窟は、
8ヶ月という驚異的なスピードで出された事による
様々な調整不足からきたゆえの難易度といわれていますが、
皮肉にもこの絶望的な難易度を越えた後の達成感は何ともいえないものがあり、
ドラクエ2を人々の脳裏に焼き付ける事に一役買ったといえなくもありません。

また、ロンダルキアへの洞窟のみならず、
純粋な謎解き要素の難しさなども今作は突出しており、
ヒントと気づかないヒントや、完全にノーヒントなど
RPGに慣れ親しんでいなかったプレイヤーには相当キツかった部類ではないかと思います。
(当時のパソコンを主流としたRPG的にはこれが普通だとしても)

個人的にもロンダルキアへの洞窟よりも
むしろアイテム探しとかで四苦八苦してた覚えがあります。

01165s2.gif
ロンダルキアへの洞窟を抜けても気は抜けない。
ボロボロな状態の所に強敵が手ぐすね引いて待っているぞ!


パスワードの存在も語り草


今からプレイするとなると、
ちゃんと調整がされていてドット絵も光るスーファミ版が良いんだろうと思いますが、
それでもファミコン版でしか味わえないこの理不尽ぶりは
やり応えがあってなかなかにキリ捨てる事ができません。
(ファミコン版と後のリメイク作品とでは難易度が雲泥の差)

ただ、このファミコン版のドラクエ2は
まだセーブ機能が搭載されていなかった頃なので、
冒険の再開にはパスワード(復活の呪文)の入力が求められるんですよね。

当時(自分が初プレイした時)はコレが凄まじくダルかったですw
私は既にドラクエ5が世に出ていた頃に
ファミコン版のドラクエ2をプレイした口で、
セーブがあって当たり前で育った人間です。
(初プレイのドラクエは3だったけど)。

2の前にはドラクエ1をプレイしていましたが、
さすがに2のボリュームレベルになると
このパスワードシステムの入力が相当負担でしたね……。
(ドラクエ1は20文字、ドラクエ2は52文字)

濁音と半濁音を間違える事もしばしばあって、
やり直しなんて事も何度もありました。
さすがに私はそういう思いはもうしたくないですけど、
ドラクエ2を語る上ではこのパスワード……もとい、復活の呪文も
良き思い出の1つとなっているんじゃないでしょうか。

ロンダルキア、謎解き、パスワード、この三大苦(悦)が
個人的には印象深い作品ですが、
勿論それだけではなくて、キラりと光る名作であるのもまた事実。
BGMに関しては触れませんでしたが、ドラクエ2のBGMを聴きたさに
何年かに1度はやりたくなるドラクエシリーズの1つでもあります。

あっ、あともう一つ印象深い事がありましたわ。
ラスボスがベホマ(完全回復)を使ってくるっていうね!!

『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』評価:☆☆☆☆☆
発売・エニックス
ジャンル・ロールプレイング
発売日・1987年1月26日
定価・5,500


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posted by 二条ジョウ at 21:17 | Comment(0) | ファミコン レビュー | 更新情報をチェックする
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