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2007年09月30日

No.75 ファミコン『ロックマン5 ブルースの罠!?』レビュー(思い出話)〜青春のキャップバトルその1〜


私が小学4〜5年生の頃。
ゲーム以外にも学校全体で流行っていた事があった。
牛乳キャップを使って、お互いの持っているキャップを出し合い
手でパンパンしながらメンコみたいに引っくり返して遊ぶ
一種の対戦バトルゲームである。

勝利したものは、場に出ているキャップを全て手に入れることができるが
キャップには価値が存在している。
その為、バトル時には同等の価値があるキャップか
その価値分の枚数をそろえなければ戦えない。

分かりやすく言うと、給食で出されていた牛乳(東京牛乳)が基本のキャップで
それを1枚分の価値としていた。
(給食で出されている牛乳キャップは、毎日手に入る為、価値は無い)

そして、どこぞから持ってきたキャップ、例えば愛知県の常滑牛乳のような
東京出身者には手に入らないような牛乳キャップはレアなので
これは300枚分の価値だった。

この常滑牛乳キャップ所持者と勝負する為には、これと同じキャップか
あるいはその価値と同じになるように、別なキャップを同等枚数そろえなければならない。
東京牛乳ならば300枚必要なのである。

このゲームの楽しさは、相手とバトルする事もそうだが
レアなキャップを収集すると言ったコレクション感覚を備えた所も
また重要な要素のひとつであった。

私もそうだったが、当時周りにいた奴らは、腰には牛乳キャップを入れた箱か袋を巻きつけ
いつでも対戦できるようにしていたのである。
いわば、カードゲームを題材としたアニメの主人公が
腰にカードを備え付けているような感じ。
それ程人気だったのだ。

ただし、あまりに流行りすぎた為に、数々の問題が生じていたのもまた事実。

その1つに、トレードがあげられる。
勿論、キャップをただトレードするのならばなんら問題は無い。
しかし、あの当時の私達はキャップが全てであったのだ。
これから話すことは、ちょっと信じられないことかもしれないけれど
牛乳キャップに周り中が魅入られていたゆえに起きた、ロックマン5事件の話と共に
今回のレビューを何回かに分けておこないたいと思う。


ある日、友人であるH君と、放課後いつものようにバトっていました。
その日は連戦連勝で、東京牛乳の価値であらわすと
大体500枚分ぐらいのキャップをH君から頂いていたのです。
勿論H君はと言うと、もう何もかもスッカラカンで
明日行われるクラス対抗ウルトラキャップ大会に出場することもままならない状況でした。

「おい。お前、そろそろヤメネーとヤヴァイんじゃない?」
「……いや、大丈夫だ。まだ続けよう」


心配する私をよそにH君は食い下がります。
とは言え、彼が所持しているキャップは既に数枚のみ。
それも殆んどが価値の無い、東京牛乳森永牛乳と言ったキャップのみ。
それに加え、私は相次ぐバトルの為、手が痛くなってきていたので
正直もうやりたくありませんでした。

「ジョウ……。俺は、俺の全てをかける。だから、お前も全てをかけるんだ」
「えっ?」


正直何を言っているのかが分かりません。
しかし、そのセリフを吐いた後にH君は、カバンから1枚のキャップを取り出します。

名糖クラウン4.0牛乳を!!!(しかも取っ手付き)

「そ……それは……、あのN君が長野で手に入れたと言う、レア中のレア!!」

私はかなりびっくりしていました。
と言うのもこのキャップ、一体何枚分の価値があると思います?

そうです!
何と、1200枚分の価値があるレアキャップなのです。

「ま……まてよ。僕はそんな価値を持っているキャップなんて持ってきてないよ!」
「安心しなジョウ!俺も男だ。
最後の戦いを引き受けてくれるならば、お前が今持っているキャップ全部だけでいい」
「なっ!……フフフフフ。男だな、H君も。よし!その勝負受けた!!」


かくして、男達の熱き戦いが始ったのでした。
机の上には100枚以上のキャップが並べられ
見ているだけでもその光景はある意味美しいものがありました。

この戦い、ジャンケンで先行を決めるのですが、このジャンケンがまた戦局を左右します。
と言うのも、場に並べてあるキャップは
ひっくり返れば続けてその人物が挑むことができるからなのです。

戦いは熾烈を極めました。
先行はH君からだったのですが
当たり面(キャップが何かにぶつかると最初からやり直し)を繰り返し
ミスも多発していたからなのです。
私も、既に腕が疲れていたので、一気に引っくり返せる枚数は20枚が限度。
その上、私も当たり面を繰り返し戦いは長引いていくのでした。

時間にして20分。
ついに、勝者が決定しました。

「よっしゃーっ!!!!!!」
「あ、えっ……」


私の勝利です。

「本当に貰うからね。今更だめだって言うのは無しだかんね!」
「わ……分かっている」


H君はそう言いますが今にも泣きそうです。
ここで青春ドラマだったら、H君にこのキャップを黙って返すかもしれませんが、私も人間。
そんな事はしません。
だって、レアキャップ欲しいですから。
それに男同士に情けは無用なのです。

でも……。

「……えぐっ。えっぐ……よかったなジョウ……」

H君があまりにも……、と言うより、今にも自殺しかねないような暗い表情でそう言ったので
私も若干なんか切ない気持ちになってしまったのです。

でも、手に入れたキャップは返したくないし……。
そこで、あるいい方法を思い浮かんだのです。

「分かった、H君。こうしよう。H君の持っているファミコンソフトをくれるなら
僕の持っているキャップを何枚かあげるよ」
「えっ!?本当?」
「うん」
「ありがとーっ!!」


H君は先ほどとはうって変わって、満面の笑みで私にそう答えてくれました。

「じゃあ、ジョウはロックマン5が欲しかったみたいだから、それをあげるよ」
「じゃあ僕は、東京牛乳のキャップ100枚あげるね!」


こうして、やってはいけないトレード
夕日に黄昏た私達の戦いは終了を迎えたのでした。


話が長くなりそうなので、一先ず今日はここまで。
また後日に続きます。

そう言えば、今日はレビュー全然してないね!

00170.png
これぞ、伝説のレアキャップ『名糖クラウン4.0牛乳』!

00171.png
勝利の証!コレともう一箱あります。
……分かっちゃいるけど、捨てられませんw



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posted by 二条ジョウ at 00:06 | Comment(7) | TrackBack(0) | ファミコン レビュー | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
そんな遊びがあったなんて・・・。
深いですね。
Posted by ふじおか at 2007年09月30日 22:46
なかなか面白そうなゲームですね!
続きが気になります。
Posted by クリームころすけ at 2007年10月01日 18:09
牛乳キャップだけを見ると、なんも価値がなさそうですが、そんなドラマを知ったとたん、輝ける宝の山に見えてきましたよ!!
続きが気になりますわ〜。
Posted by フランク at 2007年10月01日 20:58
>ふじおかさん

この何気にはまったゲームのおかげで、牛乳キャップを引っくり返す特技だけは身につけましたw

>クリームころすけさん

当時ははまりました!
今はやってませんけどねw

フランクさん

まぁハッキリ言ってしまえば、今となってはただのゴ○。
でも、当時は一つ一つが勲章でした。
Posted by 二条ジョウ at 2007年10月03日 01:57
牛乳瓶のフタは、集めた覚えあります。でもこの遊びはしなかったですね。でも、小学校低学年当時、ベッタン(関西以外ではメンコ?)で似たようなことがあったと思います。レアな柄ややたら大きいベッタンにはあこがれたものです…。続き待ってます。
Posted by gunchang at 2007年10月04日 23:48
私たちのところでは“牛ベン(ぎゅうべん)”
と呼ばれていましたがコレクターはごく一部でした。
あまりに山奥で収集しようが無かったのが敗因と考えています(笑)
Posted by そうてん at 2007年10月05日 11:00
>gunchangさん

そうですか〜。
やっぱ、集めている方もいるもんですね!
なんか親近感が沸いてきます。

>そうてんさん

牛ベンですか、色々な所で名前が変わるもんですね。
うちらの間でも、コレクターはごく一部でしたね。
殆んどがバトル用でした。
Posted by 二条ジョウ at 2007年10月06日 01:59
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