10番勝負の戦いは
その最後の戦いを迎えてもなお決着が付かず
まさかの延長戦を迎えたのでありました。
「……まさかここまで実力が拮抗していたとはな。
我ながらにビックリ仰天だぜ」
「二条さん、たんに運が良かっただけですよ。
とにかく最後の戦い、とっとととおっ始めよーぜ」
では、最終戦に用いるゲームを紹介するぜ!
そのゲームはこれだ!!
ジャカジャカジャカジャカジャカジャカ……。
ジャン!
『Dance Dance Revolution』!
最終決戦は、まさかのダンスゲーム!
ゲームのテクニックだけではなく
己の全てをかけて戦うのであります!
これこそ最終戦に相応しいゲームではないでしょうか!
「今までのプレイを全て否定するかの様なチョイスですね!」
「最後だからこそ、全てをぶつけて戦うんだよ。
ゲームのテクニックだけが全てじゃない。
精神力、技術、体力、知識、ゲームへの愛、それらを全て総動員して
初めて俺らの戦いは終わるんだ。
そう言った意味ではDDRは最終戦に相応しいゲームである事は間違いないだろ」
「……そうですね。
それなら本来の最終戦である10番目の勝負に持って来るのが
セオリーだとは思うんですけど、まぁ細かい事は置いときますか。
とりあえず全てをぶつけるって意味では間違ってはなさそうですしね」
そう!
細かい事は置いといて欲しいのであります!
私だってその辺は気づいているのですから!!
ぶっちゃけ行き当たりばったりでチョイスしたDDRを
さもそれっぽい理屈で最終戦に相応しいとか言っているだけなんですから!
全く空気嫁です!
まぁでも、行き当たりばったりにしては
悪くはないチョイスだと思っておるんですよ。
何せ、全てをぶつけて戦うって言う意味ではあながち間違ってもいないし。
そんなわけで最後の戦いはダンスダンスレボリューション!
今、長きに亘る因縁に決着が付く時が訪れたのであります。
さて、最終戦の勝負は
アーケードモードの難易度NORMALにてダンス勝負を行い
全三曲終了時点で得点が高かった方の勝利となります。
また、途中でゲームオーバーとなった場合
得点にかかわらず負けとさせていただきます。
泣いても笑ってもこれで最後!
最終決戦の幕開けであります!
「どっこいしょ。
さて、いよいよですね……」
しみじみと言うつるべー君。
何食わぬ顔をしてパットプレイをしようとしなければ
きっと私も感慨深くなったでしょうに
彼はDDRの専用コントローラーには見て見ぬ振りです。
まさか、ここまできて
パッドでDDRをやるわけにはいかないだろうにさ。
つか、つい今しがた全てをぶつけて戦うって言ってのに
話が通じなくなっちゃうよそれじゃぁ!
「二条さん。僕はもう疲れたんですよ。
パッドプレイだろうがマットプレイだろうが
そんなのは微々たる違いですよ」
私はつるべーにガッカリでした。
まさか、そんな事をつるべーの口から聞く事になろうとは……。
しかし、彼には彼の言い分がちゃんとあったのです。
「……それに二条さん、あなたはヘルニアンじゃないですか。
ここでマットプレイなどしたら、どうなると思っているんです!
僕はね、僕はいいんですよ、マットプレイでも。
でも、あなたはそれじゃダメだ。
せっかく手術までして身体を治したと言うのに
それではまた悪化しちゃうじゃないですか!!」
そう、つるべーは、私の身を案じて
あえてパッドプレイにしようと提案してくれていたのです。
そんな彼の心の声を私が悟れず
私は……、私はなんと言うおバカさんだったのでありましょうか!
「そうか、そこまで私の身を案じて……」
「ええ」
確かに私の身体でDDRなんてやってしまったら
かなりのダメージを腰に与えるかもしれない。
しかし、それでも、やらなければならない時が……、男にはあるのです!!
そう!
今がそのやらなければならない時!
「つるべー、貴様のその気持ちは痛いほど伝わったぞ!
だが、案ずるな!
私は、全ての力をこの一戦に注ぐ!
……最初に言っただろ?全てをぶつけて戦うってな!」
今、つるべーの気持ちに答える為には
彼に甘えてパッドプレイをする事ではなく
全ての力を投げ打って、このダンスゲームで踊り狂う事!
「二条さん……、あなたのこの最終戦に懸ける想いは
僕にも痛いほど伝わりましたよ、もう止めはしません」
「そうか、分かってくれたか」
「ええ。でも、僕は疲れてるんでパッドプレイにしますがね」
そんなわけで、結局最初の問答に戻るわけですが
勿論、彼のパッドプレイを私が許す筈も無く
最終的にはつるべーも首を縦に振る事になったのであります。
そして、いよいよ始まるDDRの対決。
その第一曲目は、アイヤイヤーでお馴染みのbutterflyです!
「アイヤイヤー♪」
ドスンドスン。
「ほっ!ほっ!ほっ!」
ドスンドスン。
まずは両者順調な滑り出しです。
「ほっ!嫌がっていたわりには……、ほっ!……なかなかやるじゃネーの」
「そう言う……、ほっ!……二条さんこそ……、ほっ!!あらよっと!」
私もつるべー君も、お世辞にも見せるプレイとは言いがたいものがありますが
それでも最終決戦に相応しい攻防が、いま繰り広げられておるわけです。
そのダンスぶりは、まるで風神と雷神の舞いの如く。
私が手を上に掲げ風に身を委ねれば
彼は足を差し出し雷の勢いでステップを踏むのであります。
そして最初の曲が終わります。
結果は、
私が34,900点。
つるべー君が44,300点。
となりました。
「はぁ……、はぁ……、どうしたよ二条さん。
たしか高校の頃にやりまくったんじゃなかったっけ?」
「はぁ……、はぁ……、バーロ、まだ一曲目だ。
最初から飛ばすかってんだよ」
そう。
私の本気はこれからなのです。
そして第二曲目は、チェケハーイ!でお馴染み(?)のMY FIREです!
「リィライトマイファイヤー♪」
ドスンドスン。
「はっ!はっ!はっ!」
ドスンドスン。
曲数的にはまだ2曲目ですが
お互い、10番勝負と言う長い戦いの中で、疲れが溜まっていたようです。
1曲目に比べステップを踏む足も、どこか重い感じになっていました。
「はぁ……、はぁ……、はっ!身体が……、はっ!思う通りに動かないぜ!」
「もう……、はっ!ギブアップです……、はっ!……か?」
つるべー君はそんな事を言いますが
彼も相当体力が無くなってきているのは見ていれば分かります。
しかし、そんなこんなでも何とか踊りきりました。
結果は、
私が41,200点。
つるべー君が45,200点。
何年もブランクがあるとは言え
高校の頃にイヤと言うほどやったはずの私が二連敗です。
合計得点で勝負が決まるからまだ大丈夫だとしても
これでは私の面目丸つぶれです。
最後の曲……、どうやらバーストモードで挑まねばならないようですね……。
そして、その最後の曲は、TRIP MACHINEです!
これで、全ての決着がつきます。。。
さぁ、最後の舞いを見せようぞ!
「ノンノンノーホリヘー♪」
ドスンドスン。
「へいっ!へいっ!へいっ!」
ドスンドスン。
先ほどまでと同じ様な戦い方をしていては
またつるべーに遅れをとってしまう……。
そこで私は、リミットを解除する事にしました。
つまり、腰へのダメージを考えず、攻めて攻めて攻めまくるダンスを!
「はぁっ!!バーストモード発動!」
「な……、何!?」
ドスンドスンドスンドスンドスンドスン。
ドスンドスンドスンドスン。
ドスンドスン……。
ピッシュワーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!
今、全てが終わった……。
守るべき者の為に戦った死闘が。。。
これまでの事が、走馬灯のように……。
第1戦『マッピーランド』勝者つるベー。
第2戦『ピンボール』勝者つるベー。
第3戦『スーパーマリオブラザーズ』勝者つるベー。
第4戦『ドラゴンボールZ 超武闘伝2』勝者二条。
第5戦『ギャラクシアン』勝者二条。
第6戦『くにおのおでん』勝者つるベー。
第7戦『オセロ』勝者二条。
第8戦『スーパーマリオカート』勝者二条。
第9戦『マリオブラザーズ』勝者つるベー。
第10戦『ゆうゆのクイズでGO!GO!』勝者二条。
そして、この最終戦を制したもの。
それ即ち、10番勝負の勝者を意味する……。
第三曲目の結果は、
私が117,200点。
つるべー君が77,900点。
私の捨て身のバーストモード発動で
つるべー君に大きな差をつける事が出来ました。
そして全三曲を終えて、総合得点の発表です。
総合得点は、
私が199,300点。
つるべー君が、167,400点。
よって勝者は、199,300点を叩き出した私、二条ジョウであります!!
「マジかよ……」
「あはっ、ははははははははは!勝ったぞぉ!!」
多くの運にも恵まれたとは言え
この勝利は、紛れもなく私自身が掴んだ勝利。
ヌルゲーマーな私がここまでの接戦に持ち込み
そして最終的に勝利する事ができたのです。
「人間には無限の可能性があるんだな」
「そうですね。だから僕達は戦い続けるんですよ」
この戦いが何をもたらしたのか、そして何に生かされるのかは分かりません。
しかし、今日の事が無駄には終わらないと、その様に感じる私とつるべーなのでした。
結論。
私の方がゲームがうまいと言う事です。
〜エピローグ〜
「ちょっと二条さん。
チャオズの様に増長しないでくださいよ」
「あん?勝ったのは事実だろ?」
「まあ、それはそうなんですがね。
でも、マリオもマッピーも1-1で敗れる醜態を見せたのは事実ですし
ゲームがうまいとは言い難いものがあるのではないかな〜とね」
つるべー君の言いたい事もわかります。
アクションゲームでの醜態ぶりと言ったら
私自身でも目を覆いたくなりますからね。
でも、それはそれ。
これはこれ。
これが勝負の怖い所なのですよ。
「しかし……」
「うるさいよ、お前」
「いやでも……」
「分かったよ。
んじゃ勝敗云々は抜きにして、もう一勝負してみるけ?」
「そうしましょう。
今度は得点とかゲームオーバーとか関係なしに
どちらが先にクリアするかを競いましょう。マリオでね」
「よろしい」
そしてまたスーパーマリオブラザーズでの勝負が始まりました。
……どちらが勝ったのか、そして負けたのかはこの際おいときましょうか。
ゲームは勝敗よりも
楽しくプレイする事の方が大切ですからね。
完
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